電源系
電源系とは #
電源系は、人工衛星に搭載される機器に対して、安定かつ効率的に電力を供給するための設計・管理を行っています。宇宙空間では電力が限られており、衛星の運用を左右する重要な役割を担っています。
電力の生成と蓄積 #
人工衛星では、太陽電池パネルを用いて電力を発電します。電力は、衛星の運用を支えるエネルギー源であり、姿勢制御機器・通信機器・センサなど、多くのシステムに電力を供給します。 しかし、人工衛星は常に太陽光を受けられるわけではなく、地球の影に入ってしまうと発電ができない時間帯が発生します。 そのため、太陽光に当たっている間に発電した電力を一時的にバッテリ(蓄電池)に蓄えることで、太陽が当たらない時間帯でも安定した電力供給が可能になるよう設計します。 太陽電池とバッテリは、衛星の安定した運用を支える心臓部であり、その制御や保護を含めた電力設計が、電源系の重要な仕事のひとつです。
電力の管理と配電 #
発電した電力を衛星に搭載された様々な機器に、安全かつ効率的に届けるためには、適切な配電制御が必要不可欠です。電源系では、衛星全体の電力を適切に管理・分配するための回路を設計・製作しています。
下のシステムブロック図は、人工衛星における電力の流れを示したものです。

図の左上にある太陽電池で発電された電力は、必要に応じてバッテリに蓄えられながら、最終的に衛星内の各機器へと供給されます。ここでは、太陽電池とバッテリーの切り替え、充放電の制御、各機器に最適な電圧へ変換するDCDCコンバータ、過電圧・過電流を防ぐための保護回路、電力使用状況を監視するセンサなどの複数の重要な機能が必要となります。 これらの機能はすべて、基板上の限られたスペースに集約されており、電源系では基板の回路設計から実装、動作試験を一貫して担当し、確実に動作するシステムを開発しています。
最後に #
電源系について簡単にご紹介しました。ご興味やご質問がございましたら、各種SNS等からお気軽にご連絡ください。本ページが電源系に関心を持つきっかけとなれば幸いです。 (著者:M.A.)