電源系

電源系は太陽電池で電力を生成し,各機器へ安定的な電力供給を行います.衛星に太陽光が当たらない時間帯(日蝕時)では,日照時に太陽電池で充電した二次電池を用いて電力供給を行います.以下に電源システムブロック図と各機器の説明をします.

電源システムブロック図

電源システムブロック図_revC

◯バッテリ

ITF-2ではLi-ion二次電池を採用しています.

日照時では太陽電池を用いて充電を行い,日蝕時はLi-ion電池から各機器へ電力供給を行います.

Li-ion電池仕様

無題

◯保護回路

保護回路はバッテリの過充電・過放電・過電流保護の役割を担っています.

ITF-2ではバッテリの保護回路を自作しています.

◯レギュレータ

DC/DCコンバータを用いて太陽電池・バッテリからの入力を5Vに昇圧させて,各機器へ供給します.

電源系では太陽電池で電力を生成し,太陽電池とバッテリ(2次電池)を用いて各機器へ安定的な電力供給を行います.衛星に太陽光が当たらない時間帯(日蝕時)では,衛星に太陽光が当たっている時間帯(日照時)に太陽電池で充電した二次電池を用いて電力供給を行います.

電源系システムブロック図

◯バッテリ(2次電池)

ITF-2ではバッテリ(2次電池)にリチウムイオンバッテリを採用しています.

日照時では太陽電池を用いて充電を行い,日蝕時はリチウムイオンバッテリから各機器へ電力供給を行います.

実際に衛星に搭載するバッテリの選定を行うために,ロケットの振動や宇宙での真空環境に耐えられるか確認を行います.

バッテリを何本か準備して振動試験や真空試験を行い,衛星に搭載するバッテリの選定を行いました.

[caption id="attachment_668" align="alignnone" width="569"]バッテリ振動試験の様子

[caption id="attachment_669" align="alignnone" width="567"]バッテリ振動試験の様子

バッテリを衛星に搭載するときは専用のバッテリケースに入れて搭載します.

[caption id="attachment_671" align="alignnone" width="551"]バッテリケース配置図

バッテリと回路側との間で短絡(ショート)が起こると,バッテリは過放電を起こす可能性があります.それを防ぐために,バッテリから伸びる導線の被膜にカプトンテープを巻いて,二重の絶縁を行います.これによって,バッテリの過放電を防ぎます.

[caption id="attachment_672" align="alignnone" width="557"]バッテリの導線の二重絶縁(ダブルアイソレーション)

◯太陽電池

ITF-2では衛星の全ての面に太陽電池を貼るため,大きさの異なる2種類の太陽電池(太陽電池(大)と太陽電池(小))を採用しています.±Y面,±Z面には,太陽電池(大)を1面につき2枚直列で搭載し,4面を並列に接続します.+X面には太陽電池(小)を8枚搭載し,2枚直列を4並列で接続します.-X面には太陽電池(小)を6枚搭載し,2枚直列を3並列で接続します.

[caption id="attachment_667" align="alignnone" width="568"]太陽電池(大)外観

太陽電池(小)には,他の太陽電池と繋ぐためや,太陽電池と回路とを繋げるために「インターコネクタ」というタブを付けます.今回は太陽電池(小)の裏表にリン青銅をハンダ付けして,インターコネクタとして使用します.

◯保護回路

保護回路はバッテリの過充電・過放電・過電流保護の役割を担っています.

ITF-2ではバッテリの保護回路を自作しています.

◯DCDCコンバータ

衛星に搭載している多くの機器は5Vの電圧で動作します.しかし,衛星の電力源である太陽電池やバッテリは常に5Vを出すわけではありません.そこで,DCDCコンバータという素子を用いて,太陽電池・バッテリからの電圧を5Vに変換させて,各機器に加わる電圧が5Vになるようにします.ITF-2ではDCDCコンバータを3つ搭載しています.