公開:2018年3月19日
最終更新:2018年4月03日
文章:神永
Processing 3を用いた人工衛星の軌道計算デモプログラムです。
以下の衛星についてデモを行います。
計算に使用している軌道要素は2018年3月10日に更新されたものです。 詳しくは同封の"example.txt"をご覧ください。
軌道要素から人工衛星の位置を計算します。
緯度に依存する地球ポテンシャルのJ2項による昇交点赤経と近地点引数の変化についてのみ摂動の補正を行っています。
軌道計算の手法は、以下の文献を参考にしました。
木下 宙, 天体と軌道の力学, 東京大学出版, 1998(http://amzn.asia/i1TafLY)
軌道計算では右手系を用いましたが、Processingは左手系で描画の指定を行う必要があります。
したがって、描画自体は左手系で実施しスクリーンで見た時に右手系で見えるように調整しています。
「だいち2号」の軌道計算デモの様子です。
地球は自転します。
衛星は地球の周りを公転します。
太陽は、見かけ上地球の周りを公転します。
衛星と太陽を通る輪は、それぞれの軌道です。
地球上には、衛星の軌跡が描かれるようになっています。
このプログラムでは、地球が原点に配置され、地心赤道座標系に固定され原点方向を向いたカメラで地球、衛星、太陽の動きを観察します。
地心赤道座標系は、赤がX軸(春分点方向)、青がZ軸(自転軸方向)、緑がY軸として表示されています。
軌道面座標系は、橙がx軸(近地点方向)、明るい青がz軸(軌道面法線方向)、紫がy軸として表示されています。
dt: 経過時間(日)
n: 平均運動(°/日)
a: 軌道長半径(km)
b: 軌道短半径(km)
l: 平均近点角(°)
u: 離心近点角(°)
x: 軌道面座標系における衛星のx座標(km)
y: 軌道面座標系における衛星のy座標(km)
i: 軌道傾斜角(°)
n2: 近地点引数のJ2項による変化率(°/日)
n3: 昇交点赤経のJ2項による変化率(°/日)
w: 近地点引数(°)
omega: 昇交点赤経(°)
X: 地心赤道座標における衛星のX座標(km)
Y: 地心赤道座標における衛星のY座標(km)
Z: 地心赤道座標における衛星のZ座標(km)
lambda: 地心赤道座標における衛星の経度(°)
phi: 地心赤道座標における衛星の緯度(°)
r: 地心赤道座標の原点から衛星までの距離(km)
theta_g: グリニッジ恒星時(°)
sun: 太陽と春分点方向のなす角(°)
「ランドサット8号」の軌道計算デモの様子です
「だいち2号」の時とは表示が少し異なっています。
これは、人工衛星の動きではなく、軌道面の動きを見るためのものです。
黄色で塗りつぶされたものが衛星の楕円軌道です。
軌道傾斜角により、軌道面の赤道面に対する回転(昇交点赤経のJ2項による摂動)、軌道の回転軌道面に対する回転(近地点引数のJ2項による摂動)の様子がよく分かるようになっています。
【動作環境】
Processing 3 (https://processing.org/)
【ダウンロード】